ビタミンB12の欠乏・不足

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欠乏症

ビタミンB12の不足によって起こる欠乏症は、悪性貧血、神経系や睡眠の障害、消化器官の障害などがあります。

悪性貧血(巨赤芽球性貧血)

悪性貧血とは、ビタミンB12の不足で、普通より大きな赤血球ができることで、正式には、巨赤芽球性貧血と呼ばれています。

赤血球は、外から新鮮な酸素を取り入れ、体内でできた二酸化炭素を排出する働きをしていますが、悪性貧血になると、この働きがほとんど機能しなくなります。

このため、体内が酸欠状態になり、めまいや息切れ、動悸、疲れやすいなどの欠乏症が現れてきます。

通常、貧血というとその多くは鉄分の不足が原因ですが、鉄分を補っても治らない貧血があり、その治療法を研究した結果、ビタミンB12が発見されたのです。

そもそも赤血球は、鉄分を材料にして体内で作られますが、たとえ、十分な鉄分を食品から摂っても、ビタミンB12や葉酸が不足していると、正常な赤血球に成長しないのです。

神経系の障害

私達の体内では、隅々まで末梢神経がゆきわたっていますが、脳からの指令がスムーズに末梢神経に伝えられるとき、ビタミンB12をはじめ、多くのビタミンが必要になっています。

そしてビタミンB12は、神経細胞の遺伝子(DNA)や、たんぱく質などの合成を助け、神経伝達に支障がないようにしています。

もし、ビタミンB12が不足すると、神経伝達が上手くいかず、神経が過敏になったり、気持ちが落ち込むなどの欠乏症が現われてきます。

睡眠障害

睡眠のリズムは、脳から分泌されるメラトニンというホルモンで、調整されています。

このメラトニンは、周囲が明るくなると減少し、周囲が暗くなると増加し、メラトニンが増加すると眠気がでてきます。

ビタミンB12が不足して、メラトニンの分泌が上手くいかなくなると、睡眠のリズムが崩れて、不眠症になったり、昼間にもかかわらず強い眠気におそわれるなどの、欠乏症が現われてきます。

また、ビタミンB12が不足していなくても、1日中、暗室や日光が当たらない場所にいると、メラトニンの分泌バランスが崩れ、不眠症が起こることもあります。

ですから、1日1回は明るい場所にでて、メラトニンの分泌を調整すると、睡眠障害が起こりにくくなります。

消化器官の障害

ビタミンB12は、神経以外の細胞の遺伝子(DNA)の合成も助けています。

もし、ビタミンB12が不足すると、細胞分裂がスムーズに行われず、胃や腸などの消化器官に、欠乏症が現われてきます。

例えば、慢性の下痢や胃の粘膜萎縮、胃酸の分泌低下による食欲不振などがあり、細胞分裂が活発な、粘膜に関係した欠乏症が多くなります。






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